2つの系統があり、その優位性を競っていたり、どっちが新しい今はこっちだという話です。
日本人の言葉では
回転で打つ
と
体重移動で打つ
という表現が多いでしょう。アメリカなどではリニア投法、ローテーショナル投法(打法でもあります。)と表現されます。
野球ではその優位性とか変化についてはあまり語られません。
野球では
大雑把にいうと日本のピッチャーは体重移動で投げ
アメリカのピッチャーは回転で投げると大きく分類されます。
(すべてのピッチャーがそうではありません。)
体重移動で投げる投法は膝を曲げ腰を落とし膝が地面につくような投げ方です。
回転運動で投げるはあまり腰は落とさずつったったような投げ方になっているピッチャー
です。
最近は言われませんが、以前は日本ではアメリカ人は下半身が弱いから腰が高い
日本人は腰が強いなどと表現されていました。(実際は逆ですけどw)
テニスなどは、以前は相手に対してスタンスを一直線にして打つ際に膝をしっかり曲げて
体重移動をして打てという指導がされていたようです。
いまは、一般的にはそんな時間がないので、よりコンパクトに強い打球が打てる。スタンスをオープンにして体重移動を減らし膝をあまり落とさず回転で打つという指導が主流です。
実際にプロテニスプレイヤーもアガシ以降はオープンスタンスで回転運動を重視するタイプが増えています。
体重移動で打つのは時代遅れてで回転運動で打つのが現代だ。
みたいな感じです。
ボクシングや空手などのパンチでも腰を回すパンチと回さないパンチという比較がよくでます。
なぜこういう話がよくでてくるのでしょうか?
以下2つが理由です。
- 体重移動を勘違いしている。
- 感覚的に回転動作と体重移動が両立しないこと考えている(回転動作をきっちりやると体重移動がほとんどでなくなってしまう。または体重移動をきっちりやると回転動作がしにくくなってしまう)
体重移動に関する勘違いについて考えます。体重移動はよく腰の回転を我慢して後ろ足から
前足に荷重を乗せることだと考えられます。そして後ろ足から前足まで腰を横ずらすような動きを体重移動だとされます。なので膝が前に食い込ませてかつ回転しないことがいいことだと考えられています。
これが大きな勘違いです。この動きは並進運動といいます。この腰が左右に動く動きは
体重移動の一部でしかないということです。
もう一つは回旋(回転)による体重移動です。ここが抜けていることが対立軸がでてきてしまう原因でもあります。
これが次の回転動作と体重移動が両立しないと考えてしまうこととつながります。
体重移動を重視すると前膝を食い込ませます。そこから腰を回転すると腰が回りきりません。(厳密には股関節です)ですので、並進運動 -> 股関節の回旋(回転運動)に滞りがでます。
逆に回転運動を重視する場合は腰をあまり落とさず、その場で回ることで回転しやすくなります。これがそれぞれが反していると考えてしまう理由です。
基本的な身体の使い方として体重移動を回転に転化して、力を発揮するわけですが、
体重移動を重視した場合は回転運動への滞りが出てエネルギーがロスする、回転運動を重視する場合はエネルギーが足りないということこになります。
回転による体重移動があると、回転しながら体重移動も行われるため、体重移動から回転運動の流れのエネルギーのロスが減ります。
では回転での体重移動とはなんでしょうか?
実はこれが、以前から何度も触れている股関節の伸展の分離と私が表現しているものです。
スポーツ科学では骨盤の分離運動とも表現されます。
回転による体重移動と言われると疑問が浮かびます。体重移動とは重心点の移動なので身体全体の物体としての位置のバランスが変わると体重移動がされます。胴体の位置が変化することが一番体重移動になります。
実は前足を外旋することが体重移動になります。
前足を動きの過程でうまく外旋させることが大事になります。
この例は実はテニスのフォアハンドではよくわかります。
プロ選手の多くはショットの際に前足を浮かせてくるっと周ります。
このように回転の最初から外旋しつづけることが回転による体重移動です。
流れとして以下の通りです。
並進運動 -> 回転による体重移動-> 従来の回転運動
テニスでは前足が浮いているので重心が後だと言われます。足がうかないとこの回転による体重運動ができないという風にとらえられてしまいます。
しかし前足に外旋運動する余白があれば可能なのです。
このあとに従来の回転運動という記載をしました。
従来の回転運動は以下のような感じです。
仙骨に対して回る感じです。
回転による体重移動を使う場合は
2.後足の横回転を我慢して前足を外旋
(骨盤は前にたわむような感じになり後股関節が伸展)
3.後股関節のタメを開放。
(2の伸展による骨盤のたわみを使うのでより加速される)
4. 後足側腸骨の前への倒し。
股関節が伸展して回転するので3によって後の腸骨は前足側に対して上にあがります。これを前に倒すような動きにします。これにより上体が前に倒れ上半身の身体のしなりにつながります。
になります。
回転による体重移動で前足を外旋させた場合に横回転を後足は我慢します。ですが前足は外旋するので骨盤の中心が前に引っ張られます。(図の2)これが股関節の伸展の分離なのです。
ですがこの動きは遅いと意味がありません。足の移動をするという前提でいくと
この動きは着地の直前に一気におこないます。なので前足の感覚としては極端にいうと
外旋させるために前足を極端に内側にしぼって(図の1)、踵から着地にいき着地寸前に一気に回す
ということが必要になります。短い時間に大きな稼働範囲で回すことが力につながるからです。
ですから前足の外旋の際に同時に前膝も食い込ませて外旋させるようにすると
うまくできます。
そこが感じられてくると、回転運動重視でもない体重移動重視でもない、身体を使い切る
動きになります。
この外旋の動きに関してはラファエル・ナダルやジョコビッピの動きの写真等をみると
よく確認できます。
また野球などで言われるヒップファーストは並進運動です。ですのでヒップファーストしていってそのまま体重移動のある回転運動につなげることが大事になります。
※わかりにくいと思われますので絵を少し追加しました。