2011年9月10日土曜日

ジョコビッチとナダルのフォアハンドからジョコビッチの無双ぶりの理由を探る

昨年度のUSオープン以降無双ぶりをジョコビッチが発揮しています。
その理由の一つをついて語ろうと思います。

グルテンフリー食によって体調管理ができるようになったという話もあちこちで聞きます。
ここでは身体の使い方をナダルとの比較で記載したいと思います。

ナダルから始まった股関節の伸展についての文章を書きました。
これに関連することだったりします。

ナダルは非常に強く後側の股関節の伸展を伸展をつかうことで強いフォアハンドのストレートや逆クロスと
リバースフォアハンドを利用します。

しかし彼のフォアハンドにも弱点が無いわけではありません。
調子のよくないときは、深くボールを打てないことやクロスがうまく打てないことがあります。
ボールが浮き気味ということもあります。

これは彼のフォームに起因しています。股関節の伸展が強すぎて股関節が前にでて身体が後に倒れギミになるため
強い縦の力でトップスピンは打てますが縦の力にくらべて横の力がバランスが崩れてよわくなることがあります。

それが上のような原因を生みます。リスクとリターンの関係です。

常にフルショットを撃てばいいわけではないです。



これを踏まえた上でジョコビッチをみると興味深いです。




彼もナダル同様に股関節の伸展が先に入ります。しかし彼の場合はナダルほど強く入れません。








それを利用して横の回旋も強くしています。すこしコンパクトにして横の回旋を強く利用します。
バランスがナダルよりもとれているということです。そのためジョコビッチは回転が軽くみえそして
前股関節の畳み込みがナダルよりも深いです。よりジョコビッチのほうが前股関節が回りきっていることと
回転半径が小さいことがわかると思います。股関節の伸展の効果は腰が前に出ることで身体のしなりが
大きくなります。ナダルは特に顕著です。





前でよりたためるということはクロスを打つ際にメリットとなります。現にジョコビッチはそれが彼の特異のショットでもあります。

ジョコビッチはナダルほど股関節の伸展を使わないのでトップスピンのパワー自体も少し落ち、
ナダルのようなリバースフォアも使えませんが、すこし小さくソリッドにしたことでより万能にパワーと
コントロールを発揮しやすくなっています。

万能型といえばロジャー・フェデラーなわけですが彼よりもショット一つ一つは身体が使えているため
強いです。そのため磐石なディフェンスとコントロールされた強いショットで安定して相手を叩きのめす
試合が多く見えるのです。

ナダルよりもディフェンスが磐石でスーパーショットで逆転するようなシーンは少ないかもしれませんが
より完璧にすきなくテニスをしようという点が見て取れます。

完璧に考えるすぎることが、精神的な不調でくずれ、以前の最後の壁が越えられないということを招いていた気がします。

その完璧主義的な面ゆえにいま無双の強さを発揮しているとも言えます。

ラファエルナダルはこれからどういう方向にすすむのでしょうか?
それは少し興味深いです。より攻撃力を高めるのかショットパターンの全体のバランスを整えて隙をなくすのか
いろいろ面白いと思います。

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