2014年12月24日水曜日

錦織圭の変化(その1)

今年、錦織圭が非常にすばらしい結果を残しました。

実は私は、今年はそれほどテニスをウォッチしてませんでした。
いままでウォッチの一番の対象は、ジョコビッチ、ナダルでした。
両者とも状態がかなりよくない、数年前より明らかに落ちている状況です。
それもあって大きな興味はなくあまり見ていませんでした。(世の中と逆行してますね)

錦織圭の変化の分析が欲しいという要望が、色々寄せられましたので、
いまさらながら2011 あたりから試合の映像を見なおしています。

錦織圭の特徴としては

胸郭から上の使い方が非常にうまい。バックハンドがうまい。

ということです。これが幸いして肘や肩に負荷がかかることが多かったように
みえます。

問題点としては、

股関節の使い方、フォアハンド、サービスとなります。

あまり錦織圭に興味がわかなかったのは、股関節周りの使い方に問題がある
からでした。その状態であれだけ活躍してきたのは素晴らしいことですし、
そしてそれだけ伸びしろがあるということでもあります。下半身の使い方
だけでいえば添田豪選手のほうがだんぜん上のようにみえました。

ニュースやテレビなどで伝え聞くようにそこは認識があったようで体幹トレーニング
等でかなり気にしていたようにみえます。

まだ細かい分析は完了してないので、映像付きの分析は難しいのですが、
ざっと試合を見た感じで変化している部分は

反応時間の上昇
フォアハンドの向上
サービスの安定化

です。これらはすべて股関節の使い方がよくなって来ていることが理由
だと思われます。

非常に興味深いのは、錦織自身はビッグサーバーを非常に苦手にしていました。
そこの対応が以前よりよくなっています。

サービスリターンの際に、腰浮かせて沈みきった場所で、初動して目的の方向に移動します。
実際に動く場合はこの沈みきった場所は、選手の感覚で動けるぞって場所として
自然に動きます。この沈みきった位置が以前はすこし高かったようにみえます。

そのため、初動がすこしだけ力がたりず遅いということがありましたが、
この部分に一番の変化がみられ、向上しています。

初動で大事なことは、後足がどれだけ地面を捉えて股関節に伝えて動けるかになります。

いままでよりもこの位置で股関節が外旋側の位置にはいり、
移動の際に移動方向と逆足が以前より地面を捉えて移動できています。

後ろ足の使い方が向上が見えます。

以前より初動の際に、やりやすく、力がはいる感覚がある場所が深くなったため、
腰が下がり始めるタイミングもすこし早くなりました。


これはラリーでも初動以外にも、切り返し等で要求されます。
ラリーにおける移動、フォアハンドの向上につながっているように見えました。

錦織選手は体幹トレーニングを行い股関節の使い方を意識しはじめた際に
胴体部分(お腹の部分)が反ってしまい、力が逃げていることがよく見られました。
これは股関節の稼動域が低い人によくみられます。(日本人に多い傾向です)骨盤を前傾させようとしても
お腹で逃げてしまっている現象です。


今は、力の使える稼動域が広がり、それが自然に使えるようになってきた
ことでそれが減りました。

ただ意識しても、体幹を鍛えても、実際のプレイで出すのは難しいので、
ボールを使って打って走るというトレーニングがいままでよりも増えた
のだと思います。それによってテニスの動きにそれらが強く入り始めたように
みえます。移動の際も安定して動けるようになっています。


マイケル・チャンコーチのトレーニングがどのようなものかというのは
あまり調べてないのでわからないのですが、トレーニングとしての移動量
(走らないといけない量)が増えたのではないかと思います。

次では映像分析を間に合わせて、もう少し詳細に映像を交えて分析したいと
思います。

















2014年6月29日日曜日

サッカー日本代表の継続性

あまりここではサッカーのネタは書かないのですが、書いてみます。バイオメカニクス的なネタではありません。

ちょっとこじつけぽいかも。

1998から見ると一大会おきにグループリーグを突破しています。
(といっても2回だけなわけですけども)

日本代表がやる自分たちのサッカーをやるという話が、今回は非常に強く話題に上がっていました。大会前から。それは2010ので出来なかったことでもあると思います。

結果として出てない大会では、大会前にほぼ出来上がってチームとして伸びしろがない
という状態だと結果が厳しかったということが多い。(特に2006) 2002もそのように言われていますが、実はそうでもないと考えています。

そこで気になったのが、ワールドカップ本大会とその2年前のオリンピック代表の関係です。
オリンピック代表に選ばれてかつ、その2年語のワールドカップ本大会に選出されてほぼレギュラー(もしくはほぼ全試合出場)として出場している人数を(オーバーエイジ除く)比較すると

2014 山口螢  

2010 長友  本田  岡崎

2006 なし

2002 宮本、稲本、柳沢、 中田
1998 川口、中田ヒデ

こんな感じです。2年前にオリンピック代表ということはだいたい25歳ぐらい、身体的な切れはmaxでプレイも成長しているときです。ですがまだ若いので、オリンピックの代表とその二年後のワールドカップの本大会のチームがチームのやり方が合ってないと呼ばれない。

ある程度の若い選手が継続的に代表に呼ばれとその成長が本大会で間に合うということで
チームの成長が直前で起こるということが必要なのではないかということです。

2002はそもそも監督が同じでしたし、2010は直前でやり方を転換したことで2008の選手が生きました。

しかし、周期が2年ずれているので日本代表監督を決める際にはすでに2年後のオリンピックの代表監督はだいたい決まっています。

やはり日本代表としての基本ラインとしての継続性と新しいエッセンスは、オリンピック代表のやり方から取り入れるという流れがわりといいということになるのかなぁと
いう感想です。

まぁすこしデータ的にはこじつけぽいですが。





2014年2月4日火曜日

テニスの未来の最強サービスを考える。

テニスのトッププロのフォームについていくつか書いてきました。実はいままでサービスについてはあまり触れていません。私自身はテニスのコーチではないのでサービス自体は、もっと速度の出て、体に無理がかからずという基準で考えます。それを踏まえた上でいまより
更にスピードの出るフォームについて考えたいと思います。それと同時にサービスに問題点を抱える選手のその原因についても記載します。

基準としてどれだけ速度を出すかと考えてそれから逆算してどのように体を使うか
と考えます。

もっとも速度が出るとはどういうことでしょう。

それは簡単です。ラケットがボールに当たるときにどれだけラケットに速度がでているか
です。



ではラケットに速度を出すのはどうするのでしょう?

ラケットの腕をたどると肩になります。肩を縦に後にひいたしなりがどれだけ大きくなりそれが前に行く速度がどれだけでるかになります。以下絵がそうなります。胸郭自体の縦のしなり、と横の回旋(肩甲骨を寄せる動き)



体全体では




後に引いた肩がどれだけ前にいくかということは、肩の前(胸)の筋肉が引き伸ばされて、それがどれだけ早く収縮するかということです。

以前に何度も話しましたが、

筋肉はSSC(ショートストレッチサイクル)という機能があり、短時間で一気に引き伸ばされると縮むときただ伸ばすよりはるかに早く収縮します。ということはこの筋肉をどれだけ
短い時間で大きく引き伸ばすかになります。

これがどれだけ早く引き伸ばされるかがサービスの速度のほとんどになります。

あれ? じゃそうであれば下半身とかいらないのでは?
という疑問が出てくるかと思います。

実はこのために、下半身の動きが必要なのです。

上半身と肩の意識だけで引き伸ばした場合では、対して肩を後に引けません。
強い下半身の力を利用することで、初めて通常ではいかない大きな稼働域に早く
後に引くということが可能になります。


そのための下半身の力をどうやって出すのでしょう?

股関節の進展、外旋をつかった大きな腰の押し込みが、それを生み出します。
これで腰が前にいくことで(そのときに肩をキープしようとすることで)大きく
肩が後に縦に残ります。


ではこの腰の大きな押し込みはどうすればいいのでしょう?
それは肩と同じです。股関節でSSC を生み出すのです。

股関節でSSCを出すのに大事なのがトロフィーポーズと呼ばれるものです。
トロフィーポーズでは上半身ばかりクルーズアップされますが
実はスピードを出す上で大事なのは下半身です。そしてこれが力を出しきれていないことが
多々あります。




ここのポイントは腰を横に移動する最に並進運動による移動エネルギーの捻出、
そのエネルギーと止めて、腰の回旋と押出の力になるのですが、その際の腰の
力を溜めることです。
具体的には以下の通りです。


  • 腰を逆回転させること。(回旋の溜め)
  • 股関節を内側に絞る。(回旋の溜め、押出の溜め)
  • お腹上を逆回転させること。(上半身の溜め)
  • それと前足の踵を勢いよくふむことです。(移動エネルギーの加速、回旋と押出の溜め)



写真はアンディロディックです。実はこの最の踵を踏む力が弱いことが見て取れます。踵を強く踏むと股関節が伸びるのですがこの動きが弱いのが見て取れます。



まとめると、

ラケットをどれだけ速いインパクトでボールに当てるか
そのためには、どれだけ早く大きく肩を後にひいて胸をしならせるか
そのためには、どれだけ強く腰を押し出せるか
腰を強く押す準備する


ということです。これ時系列に写真で並べると







こうなります。

例としてフォームとして非常に洗礼されている。ロディックを取り上げましたが、
次では現在のトッププロについて取り上げようかなと。

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