2011年11月16日水曜日

股関節と反応速度(ジョコビッチとマレーのリターンと反応)


このエントリーをはてなブックマークに追加
テニスマガジン12月号を呼んでみたら、
「ジョコビッチのフォアハンド検証ユニットターン」
という記事が掲載されていました。強力かつ小さな無駄な動きがなくすばやい反応の
フォアハンドを行うために、

ユニットターン
各種ステップ

が大事だという内容でした。反応しての動き出しやターンに他の選手に明白な違いが
あるっていうのはいい着眼点ですが。ステップとユニットターンとかでそれが実現できるかの
ようなあさはかな書き方で少し残念です。

上達の早道はうまい人の動きを真似ることが一番です。それはスポーツ科学でも同じで
うまい人の動きを分析してその要因を抽出したりして進んでいきます。

その人の動きが違う理由は何なのか?
なぜそういった現象になるのか?
その動きをしないとどういうことになるのか?

等が雑誌の技術解説ではほとんど抜け落ちています。
こういったことを検証しないとその動作のための条件だったり、
具体的な身体操作の方法等を実現可能にはできません。

ストロークの強さというのはサービスのリターンに集約されます。それを端的に
表している選手がジョコビッチとマレーです。ストロークの強さにつながる理由は
後に述べます。まずはリターン強さとは何なのかを考えます。

サービスをリターンするまでの工程を考えます。



  1. 相手がサービスのモーションに入る。
  2. スプリットステップを踏む(ジョコビッチはやマレーはあまり踏まない)
  3. 予測する(これはできる場合とできない場合がある)
  4. サーバーがボールをインパクトする
  5. 反応してボール方向に移動する。
  6. 停止する
  7. ためを作り身体をひねる。
  8. フォアハンド/バックハンドを打ちインパクトする


という工程です。

ボールがインパクトしてボール方向に移動しはじめるまでをA時間とします。
移動しはじめて停止するまでをB時間
停止してためるまでをC時間
ためてからインパクトまでをD時間とします。

より良いリターンのためには

A+B を短縮してCの時間を伸ばすことが大事になります。
Cの時間が大きくなれば精度と威力がDの時間を大きく取れれば威力が増すことになります。

ジョコビッチとマレーはA+Bの時間が非常に短い。そして特にジョコビッチはCとDの時間が
短い時間で精度と威力を出すことができます。それが優れたリターンを生む理由です。

多くのスポーツではディフェンスに入って反応して動く瞬間にスプリットステップを踏みます。これはなぜするのでしょうか? みなさん速く動けるのでそうしている
としか理解してないと思います。

股関節の動作をするどくするには、股関節回りの強さに応じて筋肉を均等に使うことが
大事です。その使える姿勢というのが存在します。力みがないといわれるものもその一種です。

多くの人はその状態がわからないのです。動作する際にその状態にはいらないと人間の身体は
動きません。ですので身体が勝手に姿勢反射によってその状態にはいって動くのです。

立っている姿勢
姿勢反射によるリセット
動作

という流れです。軽くジャンプすることによって姿勢反射によるリセットをつくっているです。

その状態があらかじめ作れればスプリットステップを踏む必要がありません。
これが上でジョコビッチやマレーはあまり踏まないと書いている理由です。
ジャンプして踏むとその瞬間にしか作れないのでタイミングがずれたらもうできません。
もういちどリセットがかかりムダな動きがでてそこで時間をロスします。

そこでAの時間が変わるのです。また反応した場合に筋肉を動作させるために伝達時間は
手先足先よりも股関節が短いのです。リセットは主に股関節にかかるので
それがないこと自体が反応時間の短縮につながります。

軸がブレないことがいいという理由のもっとも大きな理由がこれでもあります。
股関節が適切な状態というのは感覚ではわかりません。

日本人の場合は適切な状態よりも重心が前にかかっています。臀筋やハムストリングをきかせてスクワットした状態が適切な状態ですそこから前後の重心位置をかえずにそのまま高くした状態が反応しやすい状態です。

スクワットした状態で膝頭を足指に2指あたりにむいているのが一般的に乗れている状態です。足は両足30度から45ぐらい外にそれぞれ開いた状態が望ましいです。

Aが短縮できることでBも短縮できます。移動が速くなるためです。
股関節が適切な状態のまま移動し停止します。停止してためるという動作の際も
ここで股関節の状態がずれているとまた身体にリセットがかかりムダな時間がかかります。
また股関節が乗れているという状態だと身体がねじれずにとまります。股関節が適切ではないと止めるのにまた変な力が必要になり。ずれたり、身体が流れたり、遅くなったりします。
リセットがかかるのは特に股関節が外旋から内旋その逆の切り替わるような動きの際にだいたいおきます。

ストップして切り替える際は典型的な例です。

ストップしてためるという過程でユニットターンという名称で股関節と肩を一緒に
というのがテニスマガジンでは明示されていて、それがジョコビッチの大事な技術だと
解説されていました。

それ自体は間違いではないのですが、股関節に乗れて適切じゃないと意味がありません。
股関節に適切に乗れてるからこそ肩ごと重心をかけることで下半身も自然とひねられます。
日本人はとくにそれがうまくできないので腰をひねるのを意識することで
乗れてない人はリセットがかかり乗せて回すという動きになります。

一緒に回るというのは結果的に正しい現象で無意識に上踏む方向にのせて、のこしたまま
にして開始するという動きで結果的に正しい動きになっているのかを確認するという程度にすべきです。

最後の貯めてからショットでもその過程で股関節が乗れてないことによる
リセットがおきます。そうすると時間がかかるのでより弱い人には時間が必要になります。


この写真だけみるとユニットターンに見えます。しかし実際はタメ自体も自然に作られる
ものなのです。





これをみると後にひねってためているのではなくて手の位置を残すようにして
画面左に並進運動して残されることでタメができます。ここでもう一点
いえることは上の写真の状態のままためて打つと身体とラケットが近すぎます。
そうすると腕が伸ばせないのでゼロポジションをつくれません。移動しながらタメを
つくるころでその距離も作り出しています。状況に応じて後に腕をひねってタメる
という動作はあるのですがそれですら、基本は自然にタメが作られるように身体を
練ってその感覚と同じものを実現するようにしないといけません。

リターンのジョコビッチやマレーがすぐれているのは初期状態からうつまで
股関節の状態が適切だということにつきるのです。

それがストロークでの切り返しでも
速度を生み短い時間で力を使いきれるということにつながります。

最後にリセットがかかっているか簡単な確認方法を書きます。

移動してストップしてクロスようなショットを打つ際に
フォアハンドであればラケット側の足を着地して打つという流れのなかで
最初に踵すっとまわって飛ぶような動きをする(無意識に)
場合はリセットがかかっています。適切な位置はリセットがかかっておわった状態の足の位置なのでその状態で足が切り返せるようにすると少しよくなります。





0 件のコメント:

コメントを投稿

zenback